知識の入り口
文書、手書き、音声。業務の現場にある非構造なデータを、意味を保ったまま取り込みます。
AIの技術は、数か月で前提が塗り替わるほどの速さで進化しています。その中で成果を出し続けるには、二つの姿勢を同時に持つことが欠かせません。
一方では、世界中で発表される論文や新しい手法を継続的に追い、いち早く検証して取り込むこと。もう一方では、流行に左右されない知識の表現や推論の仕組みを深く研究し、長く使える技術基盤を確立すること。
Technica AIは、技術を理解するだけで終わらせません。検証で得た知見は、製品とソリューションに継続的に組み込まれ、お客様の現場で使える形になって届きます。
サービスで紹介している6つの技術領域のうち、当社が特に重点を置いて研究している9つの技術です。これらは独立した部品ではなく、一つの流れの上に並んでいます。
文書、手書き、音声。業務の現場にある非構造なデータを、意味を保ったまま取り込みます。
取り込んだ情報を、関係を持った知識として保持します。持ち出せる標準的な形式で持つことを前提とします。
知識を使って答えを組み立て、運用の中で得た知見を戻します。機密環境でも動く構成で提供します。
図・表・数式まで、構造として読む
業務で使われる文書は、文章だけでできていません。図面、表、グラフ、数式、注記が同じ紙面に混在し、意味は配置と対応関係の中にあります。文字列として取り出すだけでは、この意味が落ちます。
ページを画像として捉え、レイアウト構造と要素どうしの対応を解析します。表はセル単位、数式は記号の関係として取り出し、どのページのどこから取り出したかを保持したまま構造化します。
日本語の手書きを、画像と文脈から読み取る
日本語の手書きは、文字種の多さ、続け字、崩し方の個人差により、従来のOCRでは実用精度に届かない領域でした。帳票の記入欄からはみ出した文字、かすれ、訂正線が加わればなおさらです。
文字を一つずつ認識するのではなく、VLM(画像と文章をあわせて理解するAIモデル)で前後の文脈ごと読み取ります。帳票のレイアウトと記入欄の意味を同時に理解するため、崩れた文字も、周囲の文脈から推定して読み取ります。処理速度は、実運用の処理量を想定して設計しています。
会話を、文脈ごと構造化する
音声は、文字起こしをしただけでは使えません。誰が、どの話題について、どんな温度で話したのか。知識として引ける状態にするには、会話の流れそのものを構造にする必要があります。
話者分離、話題の切り替わり点の検出、要約、感情の推定までを一続きで処理し、通話や会議を検索できる単位へ分解します。
情報どうしの関係を、意味で結ぶ
検索が届かないのは、言葉が一致しないときです。同じことを指す別の言い方、前提となる知識、代替できる技能。これらは文字列の比較では見つかりません。
概念どうしの関係をグラフとして持ち、類似・上下関係・転用可能性まで表現します。AIKNOW Matchingのスキルオントロジー(スキルどうしの関係を体系化した辞書)は、この考え方を人材領域に適用したもので、要求スキルを直接持たない候補者まで評価の対象に含められます。
オープン標準で、知識を持ち運べる形に
Open Knowledge Format(OKF)は、2026年6月にGoogle Cloudが公開したオープン仕様です。組織の知識をMarkdownとYAMLフロントマターだけで表現し、専用のデータベースやSDK、特定のクラウドを必要としません。ファイルどうしがリンクで結ばれ、そのままナレッジグラフになります。
特定のベンダーに閉じた形式で知識を預けると、お客様の資産がそのベンダーに縛られること(ベンダーロックイン)になります。いつでも持ち出せる形で持つことを、Technica AIは設計方針としています。
手順の知識と、中身の知識を分ける
「何であるか」の知識と、「どう進めるか」の知識は、性質が異なります。前者は文書に書かれますが、後者は人の頭の中と、実際の作業の順序の中にあります。
両者を分けて扱うことで、手順は再現でき、内容は更新できます。AISECIの暗黙知から形式知への変換は、この区別を前提に設計されています。
調べ直しながら、答えを組み立てる
エージェント型RAGは、AIが社内文書を検索し、その内容をもとに回答する仕組み(RAG)を、AIエージェントが自ら結果を検証し、必要に応じて調べ直しながら進める方式です。実務の質問は、一度の検索では答えきれないことが少なくありません。調べ、足りない部分に気づき、条件を変えて調べ直す。人がやっている過程を省くと、答えは浅くなります。
検索・評価・再検索を自律的に繰り返し、根拠が揃った時点で回答を組み立てます。出典を保持するため、どの文書のどこから導いたかを確認できます。
使うほど知識が育つ仕組み
導入時点の精度は、出発点にすぎません。現場で使われる中で生まれる修正、例外、判断の理由こそ、その組織に固有の知識です。
解いた結果と、そこで得られた新しい知見を同じ流れの中で取り込み、次の問いに反映します。運用の中で得た知見を取り込む設計のため、対応できる範囲を時間とともに広げていけます。
機密環境でも、実用速度で動かす
機密情報を扱う現場では、外部APIに送れないという制約が先に立ちます。自社環境で動かすには、モデルを載せられる大きさに収め、その業務の言葉に合わせる必要があります。
量子化(モデルを小さく軽くする技術)と、業務分野のデータを使った調整を組み合わせ、オンプレミス環境でも実用的な応答速度で動かします。
評価用の検証環境、ベンチマークの条件、オンプレミス構成の要件。
導入前に確認したい技術的な論点があれば、ご相談ください。