通話記録には、顧客の課題、症状、調査方法、例外処理、解決策、ベテランの判断などが含まれています。しかし、会話は文書と異なり、脱線、言い直し、曖昧表現、雑談が混在するため、文字起こしだけではナレッジとして再利用できません。
本プロジェクトでは、文字起こし → 会話整理 → 重要情報抽出 → KCSオブジェクト化 → オントロジー/ナレッジグラフ化という段階処理を設計します。
技術課題
- 会話ノイズが多い
相づち、重複発話、言い直し、雑談などを業務情報と分離する必要があります。 - 重要情報が会話全体に分散する
問い合わせ、原因、確認内容、解決策が離れた位置に現れるため、単一発話だけでは意味を再構成できません。 - 同じ事象でも表現が異なる
顧客ごとの表現差を吸収し、同一の問題・状態へ正規化する必要があります。 - ナレッジ同士の関係が必要
問題、原因、前提条件、解決策の関係を持たずに蓄積すると、件数が増えるほど検索しにくくなります。
技術アプローチ
- 音声の文字起こしと正規化
話者、時間、発話単位を整理し、後続処理に適した形式へ変換します。 - 会話クリーニング
相づち、重複、言い直し、雑談、無関係な脱線などを識別します。 - 重要情報抽出
問い合わせ、症状、利用環境、発生条件、原因候補、確認内容、操作、解決方法、結果、例外条件を会話全体から抽出します。 - KCSオブジェクト生成
一件の通話をそのまま保存せず、問題・条件・原因・解決策などの再利用可能な単位へ分解します。 - オントロジー/ナレッジグラフ化
KCSオブジェクト間の意味関係を構造化し、類似性だけでなく関係性を利用した検索へつなげます。 - 継続更新
新しい通話からナレッジ候補を抽出し、既存ナレッジとの重複・関係を確認しながら更新します。
設計上のポイント
-
要約ではなく再利用単位へ分解する
通話全体を短くするのではなく、業務で使える情報構造へ変換します。
-
表現差を正規化する
顧客の言い方と業務上の概念を分離します。
-
関係を持たせる
ナレッジ件数が増えても検索しやすい構造を維持します。
まとめ
価値があるのは文字起こしそのものではありません。何が問題で、なぜ起き、どう判断し、どう解決したかを再利用可能な構造へ変えることが技術的な中心です。